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庚申碑 吉満神社 鹿児島市

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写真: 庚申碑 吉満神社 鹿児島市

写真: 水神碑 吉満神社 田上 鹿児島市

庚申碑 吉満神社 鹿児島市

「鹿児島市西部の歴史」四元幸夫著 吉満神社の項から引用(P173-177)
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吉満神社
 上集落にある。昭和51年3月に竣工した神社橋を渡るとすぐにある。田上7丁目である。大き
なイチョウ2本、クス1本がある。社殿は、鉄筋に昭和49年8月に改築されている。
 ここの境内には、宝永四年(1707)から慶応元年(1865)までの158年間の庚申供養碑が七基
建てられている。こんなにたくさん建っている所は、あまりない。

 左の大きなイチョウの木の下に、墓石型の庚申供養碑には、正面に庚申供養 人数 数人 白敬
右面に請願成就 皆令満是 左面に、宝永四年(1707)丁亥二月吉日(*1)
 右側に、墓石型に庚申供養 請願成就 皆令満是 宝永四年(1707)丁亥二月吉日(*2)
 自然石に 奉供養庚申 宝暦拾一年(1761)(*3)。奉供養庚申 安永四年(1775)(*4)。
 ? 奉供養庚申 文化七年(1810)牛正月廿日(*5)。右崖下に、奉寄進 庚申供養 天保六年(1835)
未正月二十日(*6)。自然石 奉供養庚申 慶応元年(1865)正月十八日(*7) 以上七基に刻字がある。
 水神碑には、大空軒御用水 安政三(1856)酉辰九月十八日
 明治三十七・八年役 紀念碑 明治四十年一月建 出征者 勲七等功七級 村橋□□外四名。

 「鹿児島郡・市神社明細帳」に、 明治十三年調
吉満神社 位置 田上町字渡瀬口一八四五番地 祭神 伊弉諾神(イザナギノミコト) 伊弉册尊(イザナミノミコト)
 社殿 宝殿 桁引 二間 幅 一間  拝殿 桁引 三間 幅 二間
 境内 二畝十七歩  例祭 二月一一日 後に十一月初申日

 「鹿児島県地誌」に、明治十七年刊
吉満神社 村社。村の北ニアリ。社地弐畝拾七歩 伊弉諾神、伊弉册尊ヲ祭ル。例祭十一月三日
 創建年月詳ナラズ。

…(略) // 伊弉諾神(イザナギノミコト)の解説
…(略) // 伊弉册尊(イザナミノミコト)の解説

 この境内に、庚申供養碑が七つもあり、それが158年にわたっているということは、この地区
で庚申信仰がなされていることを物語る。そこで、庚申信仰とはどんなものかについて説明しよう。
 庚申信仰は、中国の道教の教えからくる。道教について、「在家節用 真宗宝鑑 全」明治三十六年
五月二十五日印刷発行 河野松之介編集に、次のように書かれている。

道教はモンゴリア教…
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/988220/21 // 引用(国会図書デジタルコレクション)
…「呂祖刪定書」等なりとす。

 道教では、人間の体の中に三尸(サンシ)という虫がいる。庚申の日の夜、人が眠ると体内から抜け出して
天に上り、天帝に人の罪過を告げる。天帝は、その人を早死させるという。そのため、庚申の日に
は身を慎んで徹夜すると、三尸は天に上ることが出来ないで、長生きできるという三尸説がある。

 庚申の日について説明すると、十干十二支を えと といって年次記載に使用していた。
…(略) // 十干の説明
…(略) // 十二支の説明
 両者を甲子、乙丑、丙寅、丁卯、戊辰、己巳、庚午…のように甲子から癸亥まで組み合わせると、
六十年で一巡し、日にあてると六十一日目に回ってくる。庚申は庚(カノエ)と申(サル)を組み合わせた日で、
年に六回か七回回ってくる。

 体中の三尸を除くため庚申の夜、宗教的儀礼をして、その夜は終夜眠らなかった。この儀礼を
守庚申(庚申待)と言った。この風習は、約三千年前、中国の老子が行っていた。敦煌の石室の発掘
品の中に、老子経の化胡経を書いたものがあるが、漢魏六朝のころにも、こんな風習が行われて
いたことが察せられる。

 この風習が日本に伝えられたのは、平安時代である。「和漢三才図会」巻四に、「庚申待は、
第五十五代文徳天皇(851-856)のときに、智証大師円珍が唐から日本にもたらした。」と書いてある。
遣唐使によって伝えられたともいわれている。

平安時代の末、…(略)
 鎌倉時代には、…(略)
 室町時代なかばごろから…(略)
 江戸時代…(略)
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 庚申講は、…(略)

 庚申塔の次の四基は、県指定有形民族文化財となっている。
(以下略)…

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「和漢三才図会」巻四 時候部(国会図書デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1772984/74

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